0019-09-26

レックス・ムンディ(荒俣宏) 集英社


レイラインに導かれて地下鉄メトロ文庫で魑魅魍魎と学天則にもらったのがコレ。

日本で3本の指に入る物識りおじさん荒俣宏先生のオカルトホラーアドベンチャー。
97年の本なのか。という事は「ダ・ヴィンチ・コード」よりずっと早いのだな。
バックボーンはほとんど変わりません。
レンヌ・ル・シャトー~聖杯伝説
メロヴィング朝はキリストの血脈
シオン修道会
テンプル騎士団
欧州各地のメガリス
カタリ派~グノーシス
というタームが共通。このあたりはもはやオカルト本のコモンストックと言える。
ジャンケンの遅出しみたいなもので、後発物件の方が有利なんだよなあ。
消費されつくしたあたりで文庫化されちゃって荒俣先生ちょっと可哀想。
どうしても比較されてしまう。
レイラインや細菌(バイオホラー)と絡めた部分は荒俣オリジナル。凄いハイブリッドだ。
でもこれまた「ああー風水」「ああー「パラサイトイヴ」「バイオハザード」」と言われかねなくて不遇極まりない。
意外にもヴォイニッチ手稿ネタが無かった。少し期待したのに~。

ラストはこうなるだろうと思っていたらやっぱりゾンビ騎乗位だった。あと原形質だった。
こういう悪趣味を貫いてくれるのがウレシイ。俺は「バタリアン」さえ連想した。
ホラーはやっぱり一抹のトホホ感がないとダメ!その点では大満足。ほんとうに趣味悪いです。グー!

それにしても「帝都物語」の紫微星といい、このN43といい、荒俣先生の創作テーマの一つとして
「現状の世界は破滅を迎えて、より完全な北の理想郷へ遷都するとオッケ」
というのは間違いなくあるよなあ。

意外にも山田正紀氏の一連の著作と同質の匂いを感じた。
他、漫画化するなら絵師は星野之宣しかありえないとも思った。

『フーコーの振り子』(ウンベルト・エーコ)と同量のネタが惜しげもなくバカスカ投入されています。
俺ごとき凡夫ではその1/100も味わいきれていません。そのスカスカのザルに残った部分が
所謂月刊ムー程度のポップオカルトトリビア。
この前の日記で渋澤龍彦先生について書いた事とも共通する連想だが、
大学院以上じゃないとヨーロッパの神秘学モノは読めません。勿論俺も読めません。
好きな世界なのだが。

なので「面白いような気もするが、ネタのほとんどを飛ばさないとプロットを追えない」
という俺みたいなバカが読者の半分くらいは居るんじゃないだろうか。
すいませんでした。

それにしても「ダ・ヴィンチ・コード」以上にきっついテーマなので、絶対に欧米へ訳出できませんw。
サルマン・ラシュディの二の舞になってしまいます。絶対間違いない。ある意味イコノクラスム。

0 件のコメント: