0019-07-08

100円玉で買えるぬくもり~熱いカンコフィ握りしめ(尾崎豊)




ブッコフでまた100円本いくつか買った。多分近いうち駅のメトロ文庫に放置する。


●大市民 人生は酒と女と割り切るべし!編(柳沢きみお/集英社)
いわゆる再編集コンビニ漫画。サブタイトルが耐えられない程恥ずかしい。
なんで俺はこんなのを買ってしまったのか。全然判らん。
内容は、あってなきがごとし。
主人公40代後半オヤジ(小説家・イケメン・なぜかボロアパートで独り暮らし)が
ビール飲んで「旨し!」と叫ぶだけ。
あと、とってつけたような世相への批判とか愚痴とか。これがまた、ひどく浅い。
感触としては「玄人のひとりごと」と雁屋哲の傲慢エッセイ(美味しんぼ塾)に
非常に近い。けっこう鼻持ちならない箇所が多い。
が、不覚にも「こういうのっていいなあ」と主人公山形鐘一郎へほんのり
憧れの気持ちを持ってしまった。そんな自分がもう何というか、無粋の極み。ど許せぬ。

柳沢きみおについては、
「昔ラブコメ、今どうでもいいリーマン漫画の人。終わって久しい人」
という程度の知識しかなかった。「電気ショック第1号」はよかったなあ~、とか。
しかし少し調べてみると、ここ数年の作品はかなりに壊れてきていて
人間の業とか醜悪な部分とか安いセックスとかをこれでもかと執拗に描く、
しかもわけのわからない高テンションで(絵・プロット共に)読者を唖然とさせ、
しかも尻切れとんぼで作品をぶん投げ的に終了させる、という大変すばらしい
作家になってきたらしい。という事はジョージ秋山みたいなもんですか?
だとすると、凄い事だぞ。神認定じゃないか。
俺は、これから追っていかねばという妙な義務感に駆られている。

どうも「大市民」とは上記鬼畜路線とは一線を画した、この作者からすると
大変にクリーンで高踏的な別系統のものらしいのだ。
だからなんだというわけでもないけど、ちょっと読んでみたくなった。
しかしどこで売ってるんだろう。ブッコフにももう他の巻は全く見かけない。
売れてないのは判るが、この人の主戦場はオヤジ漫画雑誌らしいし(リイド社とかぶんか社とか)
いわゆるシーンからはかなりずれてるし、見つける事自体難しいなあ。
音楽でいうとニック・ロウとかデイヴ・エドモンズみたいな位置ですか?違うか。


●異教の女王(マリオン・ジマー・ブラッドリー/早川書房)
買いなおした。まったくもって傑作。次巻以降も読みたい。
数あるアーサーものの中でも最高かもしれない。
しかし、昔から思っていたが表紙はダメ。


●デューン 砂漠の神皇帝1(フランク・ハーバート/早川書房)
買いなおした。まったくもって傑作。
レト2世の人物造型のオリジナルさときたら、ちょっと他に比較の対象もない。
1巻はレト2世のモノローグも多いし(パラグラフとか)、ベネ・ゲセリットの
報告書の体裁も実に「来る」。俺は語り口に弱いんだよなぁ。
単体としてはシリーズ1の密度かもな。


●マンガは哲学する(永井均/講談社)
別にどう悪いわけではないのだけれど、あまりぴんとこなかった。
批評作品の選択も悪くないし、論旨もヘンじゃないのに。
こういうのはしばらく寝かせておいて再読したらある日ガツンと来るのかもしれない。


●プレーンソング(保坂和志/中央公論新社)
途中までしか読んでいないがとてつもない傑作の予感。
文章の詰め・・・というか彫琢っぷりが背筋が寒くなる程に完全。
読むブライアン・ウィルソンかプリファブ・スプラウトか。

非情なまでに何も起こらない青春小説・・・なのか?
ほとんど定点観測というか、アンビエントというか。
読むmumとかバイオスフィア。そんな感触を持った。

著者近影のお顔がどことなく村上春樹系の茫洋とした造作で、ちょっとクスッときた。


●猫に時間の流れる(保坂和志/中央公論新社)
未読。非常に楽しみだ。


●塵クジラの海(ブルース・スターリング/早川書房)
未読。
「スキズマトリックス」解説に書いてあった「縮大洋」の邦訳じゃないか!
ガーン!出てたのかよ!と嬉しい驚きで即鷲摑みでレジへ。
こんなのが100円なんだからほんとブクオフって値付けのセンスないよ。
ありがたいことだ。

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